糖尿病・高血圧症・高脂血症などの生活習慣病と消化器系疾患を中心とした診療を行っております。

〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-6 朝日生命須長ビル 2・3・4F

成人病News

日本糖尿病学会年次学術集会を目前にひかえて

(公財)朝日生命成人病研究所附属医院

所長・院長 岩本 安彦

熊本地震の被災者の皆様に心からお見舞い申しあげます

 2016年4月14日夜、熊本県を中心とする一帯を震度7の激震(前震)が襲いました。2日後には更に大きな本震が襲い、多くの尊い人命が失われ、家屋やライフライン、交通網などに甚大な被害をもたらしました。いわゆる「直下型地震」の恐ろしさを目のあたりにし、被災された皆様にあらまめて心からお見舞い申しあげます。震度7という激しい揺れが2回も襲ったこと、4月26日現在すでに900回に達しようという余震、活断層との関係が示唆されるその後の地震の拡大ぶりに、熊本県、大分県などの広い地域の皆様に、大きな不安を与えています。
 一日も早い地震の終息と、大被害からの復旧、復興をお祈り申しあげます。

日本糖尿病学会年次学術集会を目前にひかえて

 第59回日本糖尿病学会年次学術集会が近づいてきました。本年は京都大学内科の稲垣暢也教授会長のもと、5月19日(木)〜21日(土)の3日間、京都市内の三会場(国立京都国際会館、京都市勧業館、ロームシアター京都)で開催されます。今回は「知の融合が拓くあたらしい糖尿病学」をメインテーマに、糖尿病の予防、診断・治療において解決すべき課題が幅広く取り上げられているばかりでなく、「先制医療」にも大きな焦点が当てられており、活発な討議が展開されるものと期待しています。プログラムを拝見しますと、興味深い特別講演、稲垣教授の会長講演、会長特別企画、シンポジウム28題、より臨床的なテーマを取り上げてのパネルディスカッション、ディベートセッション(5題)、教育講演(31題)など、まさに参加者の幅広いニーズ、関心に合ったプログラムが用意されており、企画段階でのご苦労がうかがわれます。
 なお、第59回日本糖尿病学会年次学術集会には、朝日生命成人病研究所からも12題の演題を発表する予定です。

「糖尿病診療ガイドライン2016」、「糖尿病治療ガイド」の改訂など

 わが国の糖尿病診療の指針をまとめた「ガイドライン」が3年ぶりに改訂されます。この間、糖尿病治療に関しては経口薬、注射製剤ともに目覚しい進歩が見られたことは皆様ご承知の通りですが、次号の“成人病News”では、「糖尿病診療ガイドライン」と「糖尿病治療ガイド」の改訂のポイントを紹介する予定です。

 
 

糖尿病と禁煙の切っても切れない関係

部長・糖尿病代謝科 菊池 貴子

 禁煙と聞いて、もしかしたら拒否感を感じる方もいるかもしれませんが、ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。
 当院では、2010年に禁煙外来を開設しました。当時は、更なるタバコの値上げを控えていたこと、喫煙がニコチン依存症として疾患と認定され、禁煙治療が保険で行えるようになっていたこと、新しい禁煙治療薬の効果がわかってきたこと、そういったタイミングでした。
 喫煙している人から良く聞くのは、「悪いのはわかっているけれど、やめたらもっとストレスになって身体に悪い。」「家族はタバコを吸っていたが長生きをした。」「そんなに長生きをしたくない。」などです。
 一方、当院の禁煙外来を利用して、以前ヘビースモーカーだったけれど禁煙された人からは、「面白いほど簡単に辞められた。」「タバコのことを考えなくていいのが楽。」「周りの人が匂いを嫌がらなくなった。」など、やめられてとても喜ばれているようです。
 みなさんが、ストレスを抱えているのもわかりますし、ニコチン依存を治すのがなかなか大変なのはわかっているので、どうしたらいいかな、といつも私は考えます。
 ここで、喫煙されている皆さんに質問です。
 もし、自分の隣で子供が喫煙しようとしたら、どんな声をかけますか?
 実は、有名な調査がありまして、その結果は「身体に悪いからやめようよ。」という人が多かったのです。強く印象に残っています。

喫煙で起こる害

 さて、少し話を戻します。
 喫煙は、肺がんや喉頭がん等のほか(有名な歌手兼音楽プロデューサーが声を失ったのは記憶に新しいかと思います。)、虚血性心疾患や脳梗塞、くも膜下出血等の循環器疾患、慢性閉塞性肺疾患、消化性潰瘍等の原因とわかっています。最近では認知症にも関連していることが知られています。
 また、喫煙はメタボリックシンドロームや糖尿病の発症リスクを上昇させることが明らかとなっています(コルチゾールなどのホルモンの影響といわれています)。そして、喫煙とこれらの病態が重なると動脈硬化性疾患をはじめとした重大な合併症のリスクがさらに高くなることから(およそ3倍血管が詰まりやすくなる)、メタボリックシンドロームや糖尿病対策として、禁煙は必要不可欠です。また糖尿病の方が喫煙を続けると、腎臓合併症が進行しやすいこともわかっています。

禁煙の効果はいつでるの? すぐです!

 当院で、実際に禁煙した人約100名のデータを解析しました。3カ月間の禁煙直後から白血球数や同じく炎症の指標とされるNLR(neutrophil to lymphocyte ratio)は減少し、全身の慢性炎症が改善していました。他の血液ドロドロの指数についても直後から改善していました。善玉コレステロールは増加していて、短期から血液の中が綺麗になることに私自身驚きました。
 最後までお付きあいいただきありがとうございます。「禁煙してみようかな」、「詳しく聞いてみたい」と思う方は気楽にご相談ください。お待ちしております。

 
 

服薬指導の重要性

薬剤室・チーフ 長谷川 千代子

服薬指導とは

 服薬指導とは、薬剤師がお薬を患者さんにお渡しする際に、そのお薬を正しく使うための情報を伝えることであり、患者さんがご自身の病気や治療法を正しく認識し、薬物治療に積極的に参加できるように手助けをする上で重要です。
 当院では、集団指導として「糖尿病教室」においてお薬の話をしています。また個別には、入院患者さんへの服薬指導や外来の患者さんへお薬をお渡しする際に行っています。

患者さんが安心して服薬するために

 患者さんは、お薬の効果、服薬することの重要性や必要性について説明を受けることでこのお薬を服薬する理由や自分の病気について理解を深めることができます。そして、服薬のモチベーション向上につながります。薬剤師は、医療チームの一員として患者の服薬指導にあたることになります。医師や看護師と説明が異なると患者さんは、不安になり治療の妨げとなってしまいます。事前に薬歴、お薬手帳、必要時にはカルテなどもチェックして服薬指導を行います。
 お薬は正しい飲み方を理解したり、服用できたり、保管できることが大切です。食直前、食直後、空腹時に服用しないと、そのお薬の本来の効果を得ることができないことがあります。また、他のお薬、食べ物、飲み物との相互作用により効果が強く出すぎたり、効果が弱くなったり、副作用が出やすくなったりすることがあります。それぞれの仕組みを説明し、理解してもらうことで治療効果を上げることができます。
 患者さんによっては、服薬回数が多過ぎるなど生活スタイルに合わない服用や、服薬し難い剤型であることで服薬コンプライアンスが悪くなっている場合があります。その際、医師へ相談し可能な限り、患者さんの服用可能な方法への変更を考えて行くことも大切です。
 お薬は、光や温度、湿度によって本来の効き目が得られなくなってしまうことがありますので保管方法についての説明も大切です。
 副作用についての説明と早期発見をして対策をすることができます。どの範囲まで患者さんに説明するかというのは、服薬指導の課題です。治療に対して消極的にならないようにサポートします。また、副作用の可能性を説明し副作用によってお薬をやめることないよう配慮します。副作用の初期症状は患者さん自身や家族にしか分かりません。薬歴、お薬手帳、検査値、環境や体調の変化などの情報を収集し未然に回避できることがあります。

患者さんに寄り添って

 一方通行の情報提供に終わるのではなく、患者さんとの会話を通してお薬に対する理解、不安なことの解決、服薬状況の把握、お薬の効果や副作用に気付けるようにして行きたいと思います。薬剤師に「話を聞いて良かった」「服薬に関する不安を分かってもらえて良かった」と患者さんに感じてもらえるよう支援して行きたいと思います。