「治験」とは
新しい医薬品などの承認のためには、薬事法に基づいて、その医薬品の有効性・安全性などについて科学的な見地からの審査が必要です。このような科学的なデータを集めることを目的として、健康な方や患者様のご協力によって、「医薬品等の候補」を私たち「ヒト」で臨床試験することが「治験」です。新しい「薬の候補」は国(厚生労働省)の承認を得てはじめて「医薬品」となり、患者様に使っていただけるようになります。
「ヒト」で臨床試験を行う前には、培養細胞、実験動物などで薬の有効性や安全性があらかじめ十分に確かめられています。
糖尿病のお薬はこの20年の間にめざましい進歩を遂げています。ほんの数種類しかなかった薬物治療の選択肢が画期的に増え、患者様それぞれの体質や病態にあわせた治療ができるようになりました。
当院は、研究所の使命としてこれまで半世紀にわたり「治験」に取り組んでまいりました。現在、世の中で使われているほとんどの糖尿病のお薬は、長年にわたる当院の患者様の治験へのご協力によって生まれたものです。直近5年間の実績では、糖尿病、高血圧症の新しい作用機序の治験を25件実施し、261人の患者様にご協力いただいております。
治験の種類
一般的に治験は次の三種類に分類されます。当院では第Ⅲ相試験と呼ばれる治験を主に実施しています。
- 第一相試験
- 同意を得た健康な少数の希望者で安全性を確認する試験です。
- 第二相試験
- 同意を得た少数の患者様で薬の使用量や使用法、効果を調べる試験です。この段階の治験では「前期」と「後期」に分類することもあります。
前期:少数の患者様を対象に、薬の用量を何段階かに分けて試験を行い、効き目や副作用を確認します。
後期:やや多い数の患者様を対象に、プラセボ(※)と何段階かの用量で、効き目や副作用を確認します。
- 第三相試験
- 同意を得た多数の患者様にご参加いただき、標準となるお薬と比較した有効性・安全性を調べます。
※外見上は治験薬と同じであるものの、成分が含まれていない「薬」です。
治験における「インフォームド・コンセント」
患者様が医師から治療や検査の内容、予想される効果や副作用などについて十分に説明を聞き、ご理解いただいたうえで治療法を選択することを、「インフォームド・コンセント」と呼んでいます。
治験においては、患者様は医師から、治験の目的や方法、治験に参加しない場合の治療法、「薬の候補」の特徴(予測される効果と副作用)などが書かれた「説明文書」を手渡され、その内容の説明を受けます。その内容をご理解いただき、ご納得のうえで治験参加に同意いただくことになります。

患者様は、治験に関してわからないこと、ご確認したいことなどについて、ご納得するまでどのようなことでも質問することができます。そして、治験に参加するかしないかは、ご自分の意思でお決めいただくことになります。
説明を受けたその場で決めずに、説明文書を持ち帰って、ご家族に相談してから決めることもできます。当院においてもご家族の方の反対で治験参加を思いとどまる患者様はいらっしゃいます。
説明文書には、国の規則で定められた下記のような項目・内容が記載されています。
- 治験の目的、治験薬の使用方法、検査内容、参加する期間
- 期待される効果と予想される副作用
- 治験への参加はいつでもやめることができ、不参加の場合でも不利益は受けないこと
- 副作用が起きて被害を受けた場合、補償を請求できること
- カルテ、検査結果などの医療記録を治験依頼した製薬会社、厚生労働省、治験審査委員会の担当者が見ること
- 担当する医師の氏名、連絡先
- 治験に関する質問、相談のための問い合わせ先
治験に関するお問い合わせ
生活習慣病に関する治験に興味がおありの方、ご協力いただける方がいらっしゃいましたら、是非お気軽にお問い合わせください。
- 【治験室 直通電話】
- 03-3639-0488
平日
8時30分~16時30分
当院の患者様のご協力によって生まれたお薬
当院は、多くの患者様のご協力のもと、長年にわたり治験業務に取り組んでまいりました。
医薬品の臨床試験の実施の基準を定めた新GCP(Good Clinical Practice)省令の制定(1997年)以後に当院で実施された治験薬のうち、現在国内で販売されている薬剤の一覧です。
| 対象疾患 | 薬剤名 |
|---|---|
| 糖尿病 | エクア(ビルダグリプチン) |
| オングリザ(サキサグリプチン) | |
| ジャヌビア・グラクティブ(シタグリプチン) | |
| スイニー(アナグリプチン) | |
| ネシーナ(アログリプチン) | |
| トラゼンタ(リナグリプチン) | |
| マリゼブ(オマリグリプチン) | |
| ジャディアンス(エンパグリフロジン) | |
| ジャヌビア(シタグリプチン) | |
| スーグラ(イプラグリフロジン) | |
| ルセフィ(ルセオグリフロジン) | |
| フォシーガ(ダパグリフロジン) | |
| セイブル(ミグリトール) | |
| グルファスト(ミチグリニド) | |
| シュアポスト(レパグリニド) | |
| ファスティック・スターシス(ナテグリニド) | |
| スージャヌ (シタグリプチン/イプラグリフロジン) | |
| メトアナ(メトホルミン/アナグリプチン) | |
| アピドラ(インスリングルリジン) | |
| ノボラピッド(インスリンアスパルト) | |
| フィアスプ(インスリンアスパルト) | |
| ルムジェブ(インスリンリスプロ) | |
| トレシーバ(インスリンデグルデク) | |
| ランタス(インスリングラルギン) | |
| ランタスXR(インスリングラルギン) | |
| レべミル(インスリンデテミル) | |
| インスリングラルギン「FFP」 | |
| インスリングラルギン「リリー」 | |
| ノボラピッド30Mix(インスリンアスパルト二相性製剤) | |
| ノボラピッド50Mix(インスリンアスパルト二相性製剤) | |
| ノボラピッド70Mix(インスリンアスパルト二相性製剤) | |
| ヒューマログミックス25(インスリンリスプロ混合製剤) | |
| ライゾデグ(インスリンアスパルト/インスリンデグルデク) | |
| オゼンピック(セマグルチド) | |
| トルリシティ(デュラグルチド) | |
| バイエッタ(エキセナチド) | |
| ビクトーザ(リラグルチド) | |
| トリキスミア(リキシセナチド) | |
| リベルサス(セマグルチド) | |
| マンジャロ(チルゼパチド) | |
| ソリクア(インスリングラルギン/リキシセナチド) | |
| ゾルトファイ(インスリンデグルデク/リラグルチド) | |
| ツイミーグ(イメグリミン) | |
| アウィクリ(インスリンイコデク) | |
| キーンス(セマグルチド/インスリンイコデク) | |
| 肥満症 | ウゴービ(セマグルチド) |
| ゼップバウンド(チルゼパチド) | |
| 高血圧症 | ミカルディス(テルミサルタン) |
| ニューロタン(ロサルタン) | |
| エックスフォージ(バルサルタン/アムロジピン) | |
| コディオ(バルサルタン/ヒドロクロロチアジド) | |
| セララ(エプレレノン) | |
| ラジレス(アリスキレン) | |
| ブロプレス(カンデサルタン) | |
| ミカトリオ(テルミサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジド) | |
| 血栓症 | タケルダ(アスピリン/ランソプラゾール) |
| ダビガトラン(プラザキサ) | |
| 腎性貧血 | ダルベポエチンα「三和」 |
| 神経疼痛 | サインバルタ(デュロキセチン) |
| タリージェ(ミロガバリン) | |
| リリカ(プレガバリン) | |
| 皮膚潰瘍 | フィブラスト(トラフェルミン) |
| 消化器 | タケプロン(ランソプラゾール) |
| 慢性腎臓病 | フォシーガ(ダパグリフロジン) |
| ロケルマ(ジルコニウムシクロケイ酸) | |
| 高尿酸血症 | ウリアデック(トピロキソスタット) |
