vol.005 2016年 5・6月
日本糖尿病学会年次学術集会を目前にひかえて |
(公財)朝日生命成人病研究所附属医院 所長・院長 岩本 安彦 |
熊本地震の被災者の皆様に心からお見舞い申しあげます 2016年4月14日夜、熊本県を中心とする一帯を震度7の激震(前震)が襲いました。2日後には更に大きな本震が襲い、多くの尊い人命が失われ、家屋やライフライン、交通網などに甚大な被害をもたらしました。いわゆる「直下型地震」の恐ろしさを目のあたりにし、被災された皆様にあらまめて心からお見舞い申しあげます。震度7という激しい揺れが2回も襲ったこと、4月26日現在すでに900回に達しようという余震、活断層との関係が示唆されるその後の地震の拡大ぶりに、熊本県、大分県などの広い地域の皆様に、大きな不安を与えています。 日本糖尿病学会年次学術集会を目前にひかえて 第59回日本糖尿病学会年次学術集会が近づいてきました。本年は京都大学内科の稲垣暢也教授会長のもと、5月19日(木)~21日(土)の3日間、京都市内の三会場(国立京都国際会館、京都市勧業館、ロームシアター京都)で開催されます。今回は「知の融合が拓くあたらしい糖尿病学」をメインテーマに、糖尿病の予防、診断・治療において解決すべき課題が幅広く取り上げられているばかりでなく、「先制医療」にも大きな焦点が当てられており、活発な討議が展開されるものと期待しています。プログラムを拝見しますと、興味深い特別講演、稲垣教授の会長講演、会長特別企画、シンポジウム28題、より臨床的なテーマを取り上げてのパネルディスカッション、ディベートセッション(5題)、教育講演(31題)など、まさに参加者の幅広いニーズ、関心に合ったプログラムが用意されており、企画段階でのご苦労がうかがわれます。 「糖尿病診療ガイドライン2016」、「糖尿病治療ガイド」の改訂などわが国の糖尿病診療の指針をまとめた「ガイドライン」が3年ぶりに改訂されます。この間、糖尿病治療に関しては経口薬、注射製剤ともに目覚しい進歩が見られたことは皆様ご承知の通りですが、次号の“成人病News”では、「糖尿病診療ガイドライン」と「糖尿病治療ガイド」の改訂のポイントを紹介する予定です。 |
糖尿病と禁煙の切っても切れない関係 |
部長・糖尿病代謝科 菊池 貴子 |
禁煙と聞いて、もしかしたら拒否感を感じる方もいるかもしれませんが、ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。 喫煙で起こる害 さて、少し話を戻します。 禁煙の効果はいつでるの? すぐです! 当院で、実際に禁煙した人約100名のデータを解析しました。3カ月間の禁煙直後から白血球数や同じく炎症の指標とされるNLR(neutrophil to lymphocyte ratio)は減少し、全身の慢性炎症が改善していました。他の血液ドロドロの指数についても直後から改善していました。善玉コレステロールは増加していて、短期から血液の中が綺麗になることに私自身驚きました。 |
服薬指導の重要性 |
薬剤室・チーフ 長谷川 千代子 |
服薬指導とは 服薬指導とは、薬剤師がお薬を患者さんにお渡しする際に、そのお薬を正しく使うための情報を伝えることであり、患者さんがご自身の病気や治療法を正しく認識し、薬物治療に積極的に参加できるように手助けをする上で重要です。 患者さんが安心して服薬するために 患者さんは、お薬の効果、服薬することの重要性や必要性について説明を受けることでこのお薬を服薬する理由や自分の病気について理解を深めることができます。そして、服薬のモチベーション向上につながります。薬剤師は、医療チームの一員として患者の服薬指導にあたることになります。医師や看護師と説明が異なると患者さんは、不安になり治療の妨げとなってしまいます。事前に薬歴、お薬手帳、必要時にはカルテなどもチェックして服薬指導を行います。 患者さんに寄り添って一方通行の情報提供に終わるのではなく、患者さんとの会話を通してお薬に対する理解、不安なことの解決、服薬状況の把握、お薬の効果や副作用に気付けるようにして行きたいと思います。薬剤師に「話を聞いて良かった」「服薬に関する不安を分かってもらえて良かった」と患者さんに感じてもらえるよう支援して行きたいと思います。 |